いくつになっても新鮮な気持ちで読めます
表題の「てつがくのライオン」を紹介した本を読みました。小学校か中学校でも読んだ記憶はあり、思い出してきちんと読んでみたくなってこの本を開いてみました。登場する生き物が、みなまじめに悩んだり、喜んだりして生きている。そのまじめに悩んでいたりするところが微笑を誘います。「ひぐま」は「どうなったんだろう」と想像すると少しかなしく、「へび」は励ましてあげたくなり、「スピッツ」なんて。。。笑ってごめん!と言っても笑ってしまう。喜怒哀楽、いろいろな種類の詩があるのですが、どれも明るすぎず、暗すぎず、きちんと受け止めたくなる詩ばかり。 子供なら楽しく自分で朗読したくなるような詩、大人には子供のようなこころを気付かせてくれる詩です。 少年詩集とつけられていますけれども、書かれているのはさまざまな年齢の心でもあります。 「帰る」は恋人の帰った後、の気持ちでしょうし、「日暮れ」は、いまどきの中高生の孤独、といったところ。「朝」や「あかんぼう」は、初めての子供といるお母さんのこころなのでしょうね。 良い作品というのは、書かれた時代、読む時代、読む人の年齢などには関係なく、それぞれに何かをもたらすものだと思います。この詩集は、そういったものの一つです。そばに置いて、ときどき開いてみたい本。 佐野洋子さんの挿絵も、ぴたりとはまっています。鋭くてちょっとすねたような目をしているライオン(表紙にもいます)も少女も、怖いというよりは「そんなにいじけなくてもいいよ」といってあげたくなる可愛さです。「日暮れ」の挿絵のセーラー服の少女の背中は、けだるげに「ほっといてよ」といいながら、でも「さみしいな」ともいっているようで、この詩の気分にはまりすぎです。
理論社
あ・い・た・く・て (小さい詩集) ともだちは緑のにおい (きみとぼくの本) ねこはしる まるごと好きです (ちくま文庫) ともだちは海のにおい (きみとぼくの本)
|