50年前の少年にもお奨め
江戸川乱歩との出会いはいつ頃であったろうか?
昭和20年代後半、「少年倶楽部(クラブ?)」、「少年」といった少年向けの雑誌に江戸川乱歩と横溝正史が競うようにして少年向けに連載小説を書いていた。当時、小学校生徒であった小生は、先が読みたくて雑誌の発売日が待ち遠しかった記憶がある。
先日、木原善彦著「UFOとポストモダン」という本を読んで、この小説のことを思い出し、題目も忘れていたが、パソコンで検索した結果、単行本となって全集に収録されていることを知った。便利な世の中になったものである。
さて、50年振りに読んだこの奇想天外な探偵小説、少年の頃の感激が鮮やかに蘇ってきた。内容の詳細は読んでのお楽しみ。昔、読んだにせよ、読まなかったにせよ、50年前の少年にお奨めする。小説の背景となった当時の世相が感じられよう。もちろん、現在の少年にもお奨め。今の漫画やテレビドラマにないよさが感じられて本大好き人間になるかも知れない。
本筋と関係ないが、面白かったのは「註記」である。例えば、「空飛ぶ円盤」の報道が、専らラジオ放送と新聞であったことに対して「日本でテレビの実験放送がはじまったのは1953(昭和28)年。それまではラジオの時代であった」とわざわざ註があることである。
もう一点、気がついたのは、中尾明氏の解説にはUFOという言葉がありますが、「空飛ぶ円盤」に統一されていて、UFOという表現が全くないことです。
宇宙怪人、登場!
東京に出現した空飛ぶ円盤。 その円盤を皮切りに、次々と世界中で円盤が目撃され始める。 そして都内に現れた、不気味なマスクの空飛ぶ怪紳士! 地球にやって来た、宇宙怪人の恐るべき目的とは!? 名探偵・明智小五郎が、宇宙怪人相手にその頭脳を振り絞ります。 ※が、明智探偵や助手の小林少年の出番は少なめです。日本の推理小説の中でも、もっとも初期のSFジャンルかと。 すごい面白いです。設定としては戦後から間もなくですので、 当時の描写もありますし、ノスタルジックな気分になりました。 確かに宇宙怪人が攻めてきたら(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル ですね。
ポプラ社
灰色の巨人 (少年探偵・江戸川乱歩) 鉄塔王国の恐怖 (少年探偵・江戸川乱歩) 怪奇四十面相 (少年探偵・江戸川乱歩) 透明怪人 (少年探偵・江戸川乱歩) 海底の魔術師 (少年探偵・江戸川乱歩)
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