バックミンスター・フラーの世界―21世紀エコロジー・デザインへの先駆



バックミンスター・フラーの世界―21世紀エコロジー・デザインへの先駆

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これは、「体格も経験も能力もどちらかといえば人並みで、養わなければならない妻と生まれたばかりの子供がいる健康な若い男が、資本やこれといった財産、貯金、富、信用もなく学位もない状態からはじめて、宇宙船地球号に乗船している全ての人から不本意な束縛を取り除き、そして同時に、誰もがみんな納得のいく行き方ができるようにしながら全人類の生活の物資的保護と支えを永続的に向上させるために、国や大企業にはできないことで、一体何が効率的に行えるのかを見きわめるため」に自らを「モルモットB」と名づけ、一生をかけてその実験に参加した人物の記録のほんの一部である。

フラーに関する情報は非常に多い。本書はデザイン、建築、数学、科学、そして自然についてと、シンプルかつ包括的にまとめて書かれている。読みやすいが、そこから考えさせられることは多い。

自分の置かれた境遇や取り巻く社会情勢を嘆く人はいつの世でも存在する。バックミンスター・フラーも2度の落第、娘の死、社長を勤めていた企業の倒産を経験し、自称「落伍者」あるいは「消耗品」となってしまう。しかし、彼は身を投げるか、思考するのかのどちらかから思考を選んだ。

フラーはすべての生物が本能的にデザインされた役割を果たすかぎり、宇宙はすべての面倒を見ている、ということに気づく。魚が海に遊泳料を支払う必要がないように、人間も成功するようにデザインされているはずだと。自然には人間の生活に必要なものが十分用意されており、豊かに暮らす人は争いや破壊活動には関心を示さないだろうと。フラーは、確かな情報と効率の優れたデザインこそが、地球の資源を明らかにし、公平に分配し、すべての人間によりよい暮らしをもたらす、と判断した。

フラーは建築物の資材の削減や軽量化のためには、単位体積あたりの表面積が最も小さい幾何学構造の利用と多階層化が必要だという結論に至る。それが作業効率、熱効率、安全性、メンテナンス、リサイクルなどに同時にメリットをもたらす。「自然は常に最も経済的な方法で物事を成し遂げる」。フラーのジオデシック構造物の日本での例は、今では役目を終えて取り外されてしまったが、富士山頂レーダードームを思い浮かべればイメージがつかめるだろう。

デザイナーの伝記なのだが、おもしろく、哲学的でもあり、読めば自然について考えたり、勇気づけられたりすることが多いはずだ。

(デジタルハリウッド講師/染谷 昇)



偉大な人物の全業績に触れる喜び
1人の偉大な人物の全業績に、一冊の本で触れられる喜びをこの本は与えてくれた。その人物とは、発明家、建築家、数学者、思想家、エコロジスト、エンジニアと幾つもの顔を持ち、20世紀のダヴィンチとも称された天才、バックミンスター・フラー。一般には、ドーム建築の発明者、または”宇宙船地球号”という概念の発明者として、有名だろうか。

この本はフラーの発明と業績を余す所なく紹介していく。自動車、ボート、可動式住宅、トイレ、ユニットバス、幾何学おもちゃといった小さいものから、巨大ドーム、都市を覆うドームの構想、空に浮かぶ巨大建築の構想、世界的な電力供給システムの構想といったマクロなものまで、その業績は1人の人間がなし得たとは思えないほど幅広い。

その哲学は、要約すると”最小限のリソースで最大限の効果を得られるデザインが世界を救う”ということになるのかな。

フラー没後二十年を超えるが、その業績はまったく古さを感じない。哲学には若干ユートピア思想の危険な匂いが感じられないではないが、今日の環境問題を考える上で、学ぶとところは大きい。

分厚いが、写真で多くが説明され、分かりやすい本だ。めくるめく深遠なフラーの宇宙をお楽しみあれ。

新たなフラーの哲学的系譜
バックミンスター・フラー論は、本書と『宇宙エコロジー』(美術出版社)しかない。どちらもフラー後継者による評論である。第2章の「ライトフルハウス」(最初の軽量構造デザイン論)は、フラーの哲学的系譜を塗り替える。これまでフラー特集記事などに見られた退屈なフラー論(特に建築家たちの未熟な構造論)は、根絶やしになるだろう。

「シナジー効果」の基本が載ってます。
 6本の棒を、3本+3本で組み合わせれば、平面の三角形がふたつできる。ところが6本すべてをいっしょに使えば、三次元の正四面体を創ることができる。平面から三次元へ。1+1は2どころか、3にも4にも他のかたちにもなる。これがシナジー効果の基本だ。

 フラーはこうした基礎的幾何学を発展させ、ジオデシック・ドーム(三角形を組み合わせたドーム)などの独創的な建物をつぎつぎと設計・試作していった。
 たとえばフラーの設計は、モントリオール万国博の米国パビリオンで採用されたし、キャンプ用品メーカー・ノースフェイスのテントとして商品化もされている。けれど、理想の高いフラーはこんなもので満足していたはずがない。彼はいまよりもはるかにシナジェティックに稼働できるシステムを社会全般にわたって考えていた。この本にはそれが書かれている。

 なぜ、フラーの建築は浸透しないのか。街じゅうの住宅が箱形なのに、自分の家だけドーム形にするのはさすがに勇気がいるだろう。三角形を基本とする建築は、公共物には役立っているものの(トラス橋など)、まだ収穫逓減の域を出ていない。
 けれども「そうはいっていられない」状況のもとでは、フラーの設計は積極的に採用されてきた。第二次世界大戦中、低コストかつ短時間で建てられるフラーのドームは重宝したという。また将来、人が月や火星などに移り住むとき、フラー設計の建築物が建てられていくのを想像するのは簡単だ。

 戦争や宇宙開発といった非日常的状況でなくても、いまの地球環境を考えるとフラーの建築物はより使われていくようになるのかも。フラーがこの世を去ってから20年。後継者たちによって思想は受け継がれ、フラーの都市計画はいまも進行中だという。

渇いている人には是非。
フラーの名前は前から知っていたのですが、「ドームの人」くらいの印象でした。しかしそれ所ではない多大な業績を残したフラーを、この本を読んで初めて知りました。読みやすいです。ワクワクしながら一気に読めます。

実はこの本を読んだ後、手塚治虫の「ブッダ」をこれまた一気に読んでしまったのですが、ブッダとフラー、この二人のコンセプトは同じ所を見つめていたのでは?そんな気がします。

フラーのあみ出した様々なシステムは、こんがらがった私達の日常世界を柔らかく、かつ強烈に解きほぐします。

思想を物質化して具現化(しかも生活と近いところで)してしまうところがフラーのたまらないところです。

アタマが冷静になります。

私が思うにこの本は非常に現代的な実用書です。

宇宙船地球号の乗組員として
いままで日本ではバックミンスター・フラーはなぜか無視されてきたように思う。彼を知らない人にとっても、この本はフラーを認識するには最適な一冊となるだろう。
これはフラーを懐古する著ではない。彼の思考はいまもなお斬新で刺激的である。これを実現化するのは、21世紀を生きる我々に託された使命である。




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