競馬よ!―夢とロマンを取り戻せ



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日本の競馬界

日経新聞の競馬担当記者である野元賢一氏による著書。
本書は、「競馬界の問題」を包括的に見た書といえる。厩舎や騎手などの制度の問題から始まって、生産界、国際問題、JRAとNAR、そして組織の高コスト問題や他ギャンブルとの関連などへと発展して行く。競馬界の問題点をついた著書は多いが、その多くはその著者の立場に有利になるように…という提言に過ぎないものが多いのとは対照的である。長距離不用論など、多少、異議を唱えたくなる部分がないわけではないが、読み応え抜群だ。
実のところ、本書に書かれている内容は「サラブnet」連載の著者のコラムと重複するところが多く、それを読んでいる方には新鮮味は薄いかもしれない。ただ、当然の事ながら、本書の方が事実関係などがより細かくケアされており、初心者にも読みやすくなっている(サラブnetのコラムは、時事ネタ的なものもあるので)。日本の競馬界というものを考えるのにうってつけの書ではないかと思う。
最近の競馬界を描いたかなり良質の書物。

最近の競馬界を描いた良質の書物であると感じました。著者は、日経の記者で意外に思うかもしれませんが日本経済新聞というのはよく読んでいる人はご存知だと思うのですが競馬の話題がかなり豊富です。競馬を「社会」というカテゴリーで論じている点は特に共感しておりその質の高さを支えている人が著者野元氏です。面白い記事だなと思っていますと著者の名前が片隅に書かれたりしています。藤沢調教師の連載もあったり玄人向けの内容と言えるとおもいます。何より経済新聞の記者ですから競馬に対する「経済」的な側面からのアプローチが他にない新鮮味とシャープさ生み出しているとおもいます。本書の内容ですが、ハルウララ、コスモバルク、アンカツ、ホリエモン、社台グループ、ペリエ達を切り口に新聞の小さなスペースに書ききれない様々な角度から競馬が論じられており問題提起がされています。ハルウララ現象に何を見るか。強い馬がファンを競馬場にひきつけるという真理が崩れてしまったわけですが、何故あれほど負け続ける馬がいたのか、という謎を探ってゆくと競馬界の問題点が垣間見えてくるわけです。こういった切り口が読むものの興味を捉えたまま深い部分にまで案内してくれます。日本の競馬を深く理解しようという方には非常にお勧めな本です。



日本経済新聞社
競馬社会をみると、日本経済がみえてくる―国際化と馬産地の課題
公営競技の文化経済学 (文化経済学ライブラリー)
馬産地ビジネス―知られざる「競馬業界」の裏側
増補競馬学への招待 平凡社ライブラリー (537)
日本競馬7つのバカ―競馬界さま、おクスリ出てます!